ホームレスによる、ホームレスのための「尊厳の村」ディグニティビレッジ

TOKYO URBAN PERMACULTUREツアー2014の旅の様子を綴るみりにこぱぱのしぜんのぼうけんのにっきの9本目です。

ついに自然の暮らしを終え、オレゴン州ポートランドに来ました。アーバン編も、たくさんの学びがありそうです。まず最初、僕たちはホームレス(生活困窮者)の自治区、Dignity Village(ディグニティビレッジ)を訪ねました。ホームレスの自治区!? そんなの、日本では聞いたことがない! どんなところなのか、わくわくします。

DSC_0980ディグニティビレッジが位置しているのは、ポートランド空港の近く、ダウンタウンからクルマで15分くらいの場所です。敷地は、Portland Leaf Composting Facility(ポートランド市コンポスト施設)の中にあります。ちなみにポートランド市では、ゴミの分別に、「コンポスト」があって、

Portland_0こんな「Green compost roll cart」に台所から出た生ごみ、庭から出た有機物をゴミに出すことができます。日本では生ごみを収集している自治体もあるようですが、感覚的には、まだ一般的になっていないかもね。

DSC_1025入り口の様子。フェンスで囲まれていて、尋ねる人は、入り口でチェックインする必要があります。

DSC_1026中に入りました。

DSC_1011今回案内をしてくれたディグニティビレッジのリーダー、Mitchさん。彼自身も元ホームレスです。

ディグニティビレッジは経済困窮者のために、自主的に運営している非営利コミュニティとして、2000年にはじまって、現在は43戸に52人が住んでいるそうです。

ディグニティビレッジの前身は、2000年のクリスマスの前日、ホームレスのグループがポートランド市内ダウンタウン近郊に占拠して設営したテント村「キャンプディグニティ」です。この動きをサポートする議員を含む賛成派、反対派の議論を巻き起こしたそうですが、組織化されたために、行政は交渉をせざるを得ず、話し合いの結果、ポートランド市が認定するカタチで、現在の場所に移ってきたとか。

行政に認定された、はじめてのコミュニティであり、アメリカでもっとも長く続いているそうです。ホームレス自身が自治を行っているのもすごい。

DSC_0988敷地はざっと10分で一周りできるくらいの大きさ。各自の家は10x12ft(3×3.6m=10.8㎡)と決まっていて、みんなで協力して建てたそうです。つまり、セルフビルドのタイニーハウスですね。

DSC_0985今では家電、家具、鉄くずが持ち込まれることも増えて、それらを分類、修理した上でCraigslist(クレイグスリスト)で販売しているそうです。ビレッジの貴重な外貨獲得の一つ。

DSC_0992地元のアーティストとも協力しながら、家を塗ったりしているそう。

DSC_0994こちらは緑もたくさんで、暮らしやすそう。トイレ、シャワーは共同で設置しているので、個別にはありません。

DSC_0989敷地はコンクリートですが、できるだけ畑をつくって食べ物をつくるようにしています。水が大変貴重なので、夏場だけだそうですが、いろいろな野菜を育てているとか。

DSC_0986こちらは育苗施設。天井が透明になっている温室です。ここでさまざまな種類の苗を育てて、マーケットなどで売るそうです。こちらも貴重な外貨獲得源。

DSC_0987こちらが共同シャワーがある小屋。今はプロパンガスでお湯をつくっているけど、お金がかかって大変なので、ゆくゆくは太陽熱温水器をDIYしたいそうです。

DSC_0996壁の絵がかわいい!

DSC_0998これは、ある女性アーティストの作品で、ホームレスのためのモバイルタイニーハウス。ところが、あるホームレスがこれを公共の駐車場に停めて、数日ごとに移動を繰り返すということを行ったため、違法になってしまいました。

DSC_1000そしてこちらがコモンズ。共同のスペースです。

hr_0361_990_143__0361990143020娯楽、交流、話し合いなどを行うコモンルームの中の様子。ソファ、大きなテレビ、DVD、本棚、PC、電子レンジ、Wifi、薪ストーブなどがありました。グリッドの電気が来ているのは、コモンルームのみ。ビレッジの話し合いなどがここでされるそうです。

食事は、生活困窮者に支給されるフードスタンプ(低所得者向けに行われている食料費補助対策)と、コミュニティで食事を提供したり、1週間に1度、教会が食事を提供しているそうです。

hr_0361_980_847__0361980847020本棚。これもシェアですね。

hr_0361_990_146__0361990146020ディグニティビレッジの基本的ルール。

1)自分と他人への暴力の禁止(武器を見せる行為も含む)
2)盗みの禁止
3)アルコールの摂取、違法なドラッグの摂取、または器具を使用することは敷地内および半径1ブロックの範囲で禁止
4)ビレッジの平和や健全性を乱す、破壊的な行為の禁止
5)学校に行っている人、仕事がある人を除き、全員がコミュニティの一員として週に10時間の労働を行うこと
※この5つのどれかに違反した場合、コミュニティが提供するさまざまなサービスとコミュニティから除外します

DSC_1001ディグニティビレッジの前身、スクワッティング(占拠)したテント村だったころの写真。はじめのテント村は警察に追い出されたが、サポーターと共にねばり強く交渉して、現在の場所を勝ち取ったそうです。ディグニティとは、尊厳という意味。尊厳をもう一度取り戻すために、ビレッジをつくったのでしょう。考えさせられます。

DSC_1004こちらは薪割り場。冬の暖房用。地域の資源を有効活用することで、コストをかけずに暮らしを成り立たせます。

DSC_1005ツアーのつづき。

DSC_1007いろんな家。このビレッジの住人は全員、コミュニティを成り立たせるために月に25ドルを負担しています。

DSC_1009アメリカ国旗。どんな気持ちで掲げているんだろう。今回は聞くチャンスがなかったけど、次に行った時は、聞いてみたい。

DSC_0990ソーラーパネルがついた家も4〜5戸見かけました。戸別の家に電気が惹かれていないので、少しでもお金がある人はパネルを買うのだとか。

DSC_1010こちらが、畑です。コンポストから堆肥をつくっているそうです。

DSC_0999共同トイレ。イベントとか工事現場用のトイレがずらっと並んでいます。トイレも処理費用にお金がかかるので、コンポストトイレにしたいそうですが、まだ実現していないそう。

DSC_1013寄付されたオフィス小屋。

DSC_1016敷地をひと通り見て回った後、再びリーダーのMitchさんの話を伺いました。

普通のホームレスシェルターはホームレスを保護するためにあるので、カップルで生き延びてきたとしても男女が別れなくては入れなかったり、ペットを飼うことを諦めなくてはいけないそうですが、ディグニティビレッジでは、そうではないとのこと。むしろ、周辺で捨てられた犬や猫を引き取って、育てているそうです。尊厳を守ることを大事にしているそうです。ちょうど訪ねた日は、動物の健康をチェックするNPOがボランティアで実施する定期検診日で、ビレッジ中の猫、犬が集められて、不安そうな顔をしていました。

ビレッジの年間予算は24000ドル。住民は一人あたり25ドルを自治会に払いますが、連邦政府、州政府からも一切の助成は受けておらず、薪を切ったり、鉄くずを集めたり、苗をつくって、Craigslistで販売したりして、自ら暮らしを立てています。財政的には本当にギリギリで運営しているとか。さまざまなNPOと、衣食住の分野で協力体制をつくっているそうです。

ここは自治区で、行政サービスなどは受けていないので、全員に仕事があるそうです。MitchはOutreach(渉外担当)」で、ほかには「House Keeping(そうじ係かな?)」「セキュリティ」「薪」「ガーデニング」「鉄くず担当」「Bean Counter(豆数え役)=みんなの労働管理者」「家電担当」など。

ディグニティビレッジの将来について聞いてみました。ここは市から借りている土地なので、いつどんな形で終わるかわからない不安の中で暮らしているので、ゆくゆくは、自分たちの土地がほしいそうです。

Mitch自身の話も伺いました。Mitchは今ではOutreach担当で、僕たちのようなツアーの受け入れ、メディア対応、新しくビレッジに入った人への教育を担当しています。新人に、ディグニティビレッジのミッションを理解してもらって、「エキサイトしてもらうことが大事なんだ」とのこと。

ディグニティビレッジのミッションは大事にしているけど、その前に暮らしをなんとかしたいと思っていますが、むずかしいこともたくさんあるそう。

Mitch自身は、ディグニティビレッジと地元の大学とのつながりに力を入れてきたそうです。かつてはクルマで暮らしていたMitchですが、このビレッジのリーダーになって3年、そろそろ次のリーダーに引き継ぎたいそうです。

最後に、Mitchは「ポートランドはCoolな街さ。こういうディグニティビレッジみたいなことが起きるのは、ポートランドならでは。ポートランドを楽しんでね!」と言ってくれました。

DSC_1021ツアー参加者Nickyの机になるみり。

hr_0361_980_843__0361980843020今回ディグニティビレッジを訪ねて、たくさんの学びがありました。

今回、ホームレス・アクティビズムという考え方を知りました。バラバラになっているホームレス/生活困窮者たちを組織して、キャンプ・ディグニティを立ちあげて、行政と交渉することがなかったら、今のディグニティビレッジはなかったでしょう。組織になっているから、さまざまなNPOがビレッジと共同でプロジェクトを行うことも、アカデミズムと連携して、ホームレス・アクティビズムのあり方を研究したりすることも、アーティストがつくったモバイルタイニーホーム・プロジェクトのように、さまざまな領域の人がホームレス/生活困窮者の問題に関わることができるようになったのです。

もうひとつ感じたのは、恵みを活かす暮らしの可能性です。みんなで協力して薪を集めて、薪ストーブで暖を取る。みんなで余った鉄くずを集めて売る。温室で苗を育てて、売る。みんなの食べ物をつくる。宗教団体や学校と協力して、教育の場にもしてもらう。自然からの恵みだけでなく、都市には都市の恵みもあります。そういう恵みを最大限収穫して、暮らしに活かしている。ディグニティビレッジから学べることは多いと思いました。

ディグニティビレッジには、日本のホームレス/生活困窮者問題の解決のヒントがいろいろありそうです。

ツアーの様子の動画はこちら。











DSC_1031お腹すいた! というわけで、お昼は近くのフードコートへ。なにを食べようかな。

DSC_1029ポートランドのフードコート、韓国料理もよく見かけます。

DSC_1034みんなで食べたけど、スパイシー/エスニックな料理が多くて、子どもたちが食べられるご飯がなかなかないね……。

DSC_1032暑かったので、子どもたちにアイスクリームを買ってあげました。

DSC_1037街角でみつけた図書館。1冊入れて、1冊とっていい、というルールみたいですね。こういうのがあちこちにあります。

DSC_1038手づくりで、かわいいです。

DSC_1040今日も元気に街を歩くよ。

DSC_1043近くに見つけたカフェでカフェイン補給。

DSC_1046以上、ポートランドの裏側ツアーの初日でした。ポーランドにいるのに、Stumptown CoffeeとかCoava CoffeeとかBaristaとか、雑誌のポートランド特集でかならず登場するおしゃれなカフェにはどこも行く予定がありません。

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